漫画を描いてみたいけど絵が描けないから…
漫画を描いてみたいと思いながらも、イラストすらろくに描けないのに漫画なんて描けるわけない、と思っていませんか?
かくいう私もそのように30年近く生きてきましたが、なんと今年初めて、漫画を描けました!!!今回は、その過程で気づいたことと漫画力を身につける方法をまとめていきます。
- 漫画を描きたいけど何から始めたら良いかわからない方
- そもそもイラストも描けないのに漫画なんか描けるわけないと思っている方
この記事が、きっと漫画のハードルを下げるものになると思いますので、是非最後までご覧ください。
結論:漫画は絵が下手でも描ける
まずは結論から。漫画は絵が下手でも描けます!!!!!!
そのような本のタイトルとか、動画のタイトルとかは見たことがありました。でもどうせ釣りでしょ~と、私は真に受けず、イラストの勉強を始めました。
漫画を描くためには、まず画力が必要だと思ったので、クロッキーを中心に、人体をうまく描く練習を続けてきました。でも勉強を続けるうちに気づいたのです、このままでは一生漫画を描けるようにならないな、と。
漫画はイラストよりも映画に近い
私がまずイラストを中心に絵を描き始めた理由は、漫画はイラストの集合体であると思っていたからです。イラストを練習することで、キャラを自由に動かすことができるようになり、イラスト(コマ)の組み合わせが、漫画を形作る、というイメージです。
クロッキーが進んできた頃、一度4コマ漫画を描こうとしたものの、全く筆が進まなかったのは、私がイラストをうまく描くことだけを意識してきたからだと気づきました。
漫画力=演出力
私は「画力」にこだわってきたわけですが、漫画を構成する一番の重要な要素は「漫画力」です。「漫画力」は「演出力」と同じような意味合いで、この感覚は、漫画家・浦沢直樹先生の『読みやすい&リズムの良い漫画の“つくり”を解説』という動画が大きなヒントになると思います。
冒頭の「我々漫画家は結構ここで嘘をついてるんです」という言葉がとてもインパクトがある表現ですが、ここが「漫画力」の神髄で、つまり正しく描くことよりも、伝えたいことが伝わるように描くことが重要ということ。
- カメラはどう動かすか(どれぐらい離れるか?角度は正面か?下からか?上からか?)
- 何を切り取るか(人物全体?人物の一部?背景?物?)
- 周りの状況(社会はどう動いている?照明は?天気は?)
- 何を話すのか(セリフの言い方は?長さは?)
など、何をどのように描けば、どのように伝わるのかを知っていないと、漫画を描くことはできないのです。人体の描けるようになっても、私が4コマ漫画を描けなかったのは、何を描けば自分の描きたいストーリーが伝わるかをわかっていなかったからですね。
漫画家はイラストレーターというより映画監督
前述の通り、漫画を描くためには、「フレームの中に、何を描いたら、どんな風に伝わるのか」を考える必要があるので、まさしく映画監督のイメージだと思います。
イラストレーターでも漫画を描ける方とそうでない方がいらっしゃいますが、1枚絵でストーリーが感じられる作品を作られる方は、漫画も描ける方でしょう。例えば、ラノベの挿絵などがわかりやすいですね。
つまり、絵が下手であっても、映画監督のように演出力さえあれば、漫画は描けるということです。
漫画はイラストの練習になるが、逆はなり得ない
とはいえ絵を描かなきゃいけないんだから、全く描けなかったら無理じゃん~!と思いますよね。ここで声を大にして言いたいのは、「漫画はイラストの練習になるが、イラストは漫画の練習にはならない」ということ。
仮に、あなたが既に「漫画力」を身に着けているとしましょう。「画力」は小学生レベル。描きたいストーリーは頭にあります。「漫画力」があるあなたは、コマの中にどのような絵を描いたらいいかはすぐにわかるでしょう。しかし「画力」はないのでペンはすぐには進みません。
頭の中のぼんやりとしたイメージを形にするためには、沢山の資料がいりそうです。その角度から見たら、人物はどう見えるか?背景はどう見えるのか?影はどうつくか?多くの資料を参考にしながら、時間をかけて作画をしていくことになるでしょう。
それを繰り返すとどうでしょうか?確実に「画力」は身についていくと思いませんか?つまり、絵が下手でも漫画を描こうとすれば、着実に絵がうまくなると言えるのです。
上記の例でもわかるように、漫画のスタートは「何を描けば伝わるか」がわかること(「漫画力」)なので、イラストをいくら練習しても、漫画を描けるようにはなりません。これから絵の勉強を始めようと思っていて、将来的に漫画を描きたいと思っている方は、下手でも漫画を描くことが、最も効率的な練習法だと思います。
漫画力を身につける方法3選
それでは漫画力を身につけるために一体どんなことをしたら良いのか、私がとても参考になったものだけをご紹介していきます。
構図や構成・流れを学ぶ!フィルムスタディー(漫画でも可)
絵の練習・上達におすすめな書籍紹介でもご紹介したのですが、描きたい印象を伝える「イラストの構図」の考え方!フィルムスタディーのススメ ふくろうセミナー(砂糖ふくろう 著)は、初心者にとてもおすすめです。
絵の構図の種類と、学び方を解説した本で、砂糖ふくろう先生の本はどれもわかりやすいイラストで説明してくれるので、見てるだけでも楽しい。単なる構図の効果解説ではなく、自分で学ぶ方法を教えてくれるのがこの本の素晴らしいところです。
本当に映画監督からその技術を学ぶ「フィルムスタディー」ですが、映画にこだわる必要は個人的ないと思います。私たちはこれから漫画を描きたいわけなので、お好きな漫画の好きなコマをピックアップするのもおすすめですよ。
ペガサスハイド先生の漫画添削動画
漫画家15年、漫画専門学校講師20年の経験があるペガサスハイド先生による、漫画添削動画です。
私は最初に「コマ割りのやり方」「構図の決め方」など、漫画の基礎を順を追って勉強しようと思い、取り組んでいましたが、ペガサスハイド先生の漫画添削再生リストを周回する方が何百倍も勉強になりました。
2023/11/20現在、91本の添削動画があり、視聴者の方の作品と、先生の作品を見比べることで、コマや構図の効果を比較しながら学ぶことができます。他の方の漫画添削動画も拝見したことがありますが、ペガサスハイド先生は、他の方々が感覚でやっているようなことも、的確な言葉で説明してくださるのがありがたい。
そして、マインド面も厳しく、「あなたの伝えたいことは、こう描けば伝わりますよ」ではなく、「あなたの伝えたいことってそもそもこれで合っている?」という目線で、漫画と向き合ってくださいます。
そして若い視聴者の漫画添削なんかもあって、「小学生の子もこんだけ描くんだ、、、私もやろう!!」と背中を押してくれる回も多いのでおすすめです。
とにかく漫画を読む(プロアマ両方)
フィルムスタディーや漫画添削動画視聴と並行して、漫画を読みましょう。見える世界が違ってびっくりしますよ。今までは何も考えずに読んでいた漫画が、教科書に早変わりしてしまいます。
まだ漫画描いたこともない素人のくせに
- 左ページの引きのコマ、うまいな~!
- ここで手のコマ入れるのめっちゃずるい!!
- 単調なコマ割りであえて時間経過を表現してるのかあ、なるほど
なんていう偉そうな感想が出るようになったら、もう描き始める段階でしょう。漫画を見て、内容以外の気づきが出てきたら、「漫画力」が備わっていると言ってもいいと思います。
私はこの段階で、人生で初めて3ページ程度の漫画を描いてみようと思い立ち、ストーリーを作るのに15分、ネームはまさかの13ページ、1時間半で描き上げました。決して順調とは言えませんが、4コマ漫画も全く筆が進まなかった自分が、13ページのネームを描き上げたことに感動してしまいましたね。
そして、読む漫画は、色々なものであればあるほどいいと思います。特に読み切り漫画やアマチュア漫画(Pixivの創作漫画や二次創作漫画)は、比較的ページ数が少ないので、構成が分析しやすくおすすめです。
Pixivだと同じくらいのレベルの絵師さんたちも沢山います。言い方はよくありませんが、人の漫画を読んで、「読みにくいな」と感じる経験も、自分の作品を作る上ではかなり役立つと思います。なぜ読みにくいのか、コマの位置の問題なのか、吹き出しの配置の問題なのか。プロの作品では絶対に感じられない部分なので、アマチュア作品を見てみても発見があると思いますよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか?漫画を何から始めてよいかわからない方の参考になったら嬉しいです。私もまだまだ勉強中ですが、一緒に楽しんでいきましょう~!
あなたの漫画ライフがより充実したものになりますように!